SOMEONE's diary

思ったことを備忘録として

小話にもならない女の世界の話

女たちの世界を知るようになったのは、つい最近で、そこにはドロドロとした小話のネタになるような、そして少し刺激的なナニカが転がっているのだと思っていたけれど。

 

三十路になれば人生色々だとわかるから、なんてちょっとカッコイイお姉さまたちが言っていたけれど。

 

女の友情なんて連帯だからと、少し賢いヒトが言っていたけれど。

 

とある事情で、いわゆる高級キャバクラに。偉い人と一緒だったということもあり、お店側がこれでもかと「お店の売れっ子かつ気遣いができる子」を隣に座れせてくれた。

 

みんな、「キャラ」がある美人で、なでしこ系から、ギャル系、お姉さま系と様々。女の私にもすごく気を使ってくれて、こちらまで心地よくなってしまうようなひと時。

 

ふと、話の間が空いたとき、「わたし」の詮索が始まった。仕事のことから、学歴のこと、プライベートのこと。そこには、ガールズトークと言われる軽さもあったし、軽さで割り切れない何かもあった。

 

一人の、彼女は18歳からこの世界で、今年30歳になる、きれいなお姉さんだったんだけど、彼女が、「わたし」を羨ましいと言葉をこぼした。それは、お世辞やセールストークの類のものだとも思うんだけれど、お互い何かを感じたのか、ポツリ、ポツリと話し始めた。

 

羨ましいのはこちらのほうで、美人で、気遣いができて、今度は新店のママになる子。それは売り上げている証、成功のシンボル。

 

私といえば、仕事は閉塞感いっぱいで、今後のキャリアなんて見えもしない。

ただ、外側についている社会的記号は少しだけ輝かしい。張りぼて

 

学歴があって、英語が話せて、外資系でマネジャーして、私にはないものを持ってて羨ましい、と彼女は言う。けれど、私は、彼女の、一つの世界で上り詰める覚悟や、気遣い、美の探究心。羨ましいし思いしか生まれない。

 

やり取りの中で、お互いをお互いが羨ましく思うの、なんだか可笑しくなって、緩くつながる同年代という心地よさなのか、気持ちを理解してくれる共感者なのかわからないけど、結局同じような話を繰り返していた。

 

最後は、どれだけ売り上げノルマがきついか、下の子たちに的確なフィードバックが与えるのが難しいか、という、たわいもない中堅トークに収束したのもご愛敬。

 

そこから、ラインのトークが盛り上がって!今では親友!みたいな、世界は広がらないんだけれど、時折お互いを気遣う関係。

 

あの夜、ああ、こういう夜もあるのだなと私は思ったし、彼女もそう思ってくれているといいなと思ったし。

 

同じ女でも様々な人生があるけど、どこかで共感して、どこかで反発して、そしてそれぞれの人生を歩んでいくしかない。このことだけは、知れてよかった。

 

小話のネタになる女の世界は知らないけれど、わたしの思い出には残る。

そんな夜だった。